ISBN:4093590850 単行本 丸田 祥三 小学館 2006/06 ¥2,415

前から書こうかとは思っていた写真集なのですが、今回のこの機会を逃すと、書かない危険性があるので書きます。

心が綺麗な人にしか見えない世界とは、どんな世界でしょう。
私は少なくとも、こう言う写真が撮れる方というのは、心がそれはそれは恐ろしいほど綺麗なんだと思います。

出会いは突然に、本屋ですれ違った一冊でした。
それが、私の心の中に卵が生まれた瞬間です。
どういう訳か、大きい書店ではないのですが、廃墟の写真のフェアをやっていたらしく、その中の棄景と言う言葉に惹かれた。
パラパラパラと見るのは、あまりにも恐縮なくらいの写真で、そのままレジまで抱えていった覚えがあります。

それが、5年ほど前の話。

また突然に、定期購読している某誌から、連載が始まった。
びっくりして、1時間くらい思考が停止した。

何でなんだろう、冷たくなったはずの廃墟が、こんなに暖かいのは。
少しだけ大人になった私の心は、色々あって荒んでいたのですが、少しだけ元気が出た。

単に美しい写真だからいいってものではなくて、その世界の深さが好きです。
少しだけ、この本を手に取るとその世界に入れるような気がするので、私の本棚の中で何があっても死守する棚にそっと入れてあります。

 

コメント